BOSO Circular Economy

房総サーキュラーエコノミー推進協議会

フードロス削減や地産地消で循環経済・社会を牽引する、宝酒造のチューハイ “寶CRAFT南房総夏みかん” の原材料、夏みかんの収穫をお⼿伝いしました

フードロス削減や地産地消で循環経済・社会を牽引する、宝酒造のチューハイ “寶CRAFT南房総夏みかん” の原材料、夏みかんの収穫をお⼿伝いしました

千葉県鴨川市
マップ&リストN0.012
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取材:協議会事務局・杉田基博
取材協⼒:鴨川レモン組合 宝酒造株式会社 株式会社⽇本果汁

南房総夏みかん 援農 クラフトチューハイ

2025年5⽉7⽇(⽉)、協議会は、“寶CRAFT南房総夏みかん” に使われる夏みかんの収穫をお⼿伝いできると聞き、鴨川市の夏みかん畑を訪ねました。

集合場所は、鴨川市が設置し、株式会社良品計画が運営している総合交流ターミナル“みんなみの⾥”。
夏みかんを⽣産している鴨川レモン組合関係者、果汁を搾っている⽇本果汁社員、チューハイを製造販売している宝酒造社員、メディア関係者が参加し、地元の農産物を料理した健康的で美味しいランチをいただいたあと、2組に分かれ、2カ所の夏みかん畑に移動しました。

南房総夏みかん 援農 クラフトチューハイ
南房総夏みかん 援農 クラフトチューハイ
南房総夏みかん 援農 クラフトチューハイ
南房総夏みかん 援農 クラフトチューハイ

私たち協議会が訪ねたみかん畑は、農林⽔産省より⽇本の棚⽥百選と棚⽥遺産の2つに認定されている⼤⼭千枚⽥から近い丘陵地帯にあり、川名和海(かわなかずみ)さん、喜美⼦(きみこ)さんご夫婦が栽培されています。

戦後、2代前の親族によって植えられた夏みかん畑は、ご⾃宅近くの⼭の上にありました。ご夫婦それぞれ軽トラを運転し、収穫サポーターと、道具を運搬。勝⼿知ったる庭⼭、といったところでしょうか。90歳近い年齢とは思えないハンドル捌きで、急斜⾯の狭い道をガンガン登っていきました。

夏みかんを植樹した当時は、現在のように⼀年中、ありとあらゆる果実が⾷べられる時代ではなく、初夏に⾷べられる夏みかんは、⼤変重宝されたそうです。
ところが近年、他の果物におされ、あまり⾷べられなくなってしまったそう。

南房総夏みかん 援農 クラフトチューハイ
南房総夏みかん 援農 クラフトチューハイ

そんなモッタイナイ状況を変えよう、と参画したのが、宝酒造と⽇本果汁。
宝酒造は2017年、全国各地で素材の特徴や個性を活かした、地域限定のクラフトチューハイ“寶CRAFT”を⽴ち上げ、2018年に“南房総レモン”、2019年に“南房総夏みかん”を発売開始。
果実として出荷する場合、規格外や果⽪表⾯のキズにより、売り物にならずに廃棄されてしまいますが、加⼯品としても商品化することで、廃棄していた果実を活⽤。より多くの果実がチューハイになることは、とてもアリガタイことです。
鴨川レモン組合としても、宝酒造と、⽇本果汁が参画したことで、より安定的に栽培が続けられるようになり、また、チューハイにすることで、収穫期以外も安定的に商品化できている状況に、満⾜されているようです。
なお、 “南房総レモン”と“南房総夏みかん”は、地域に根差した商品になるよう、南房総のご当地グルメ、“もつ焼き”や“アジのなめろう”に合うような味わいに仕上げている、とのこと。

南房総夏みかん 援農 クラフトチューハイ
南房総夏みかん 援農 クラフトチューハイ

夏みかんの収穫なんて簡単、と思ったら⼤間違い。
ハサミでカットしたみかんの軸が原因で、他のみかんを傷つけたり、傷が原因で腐敗させないよう、2度切りといって、最初に軸を数センチ残してカットし、次に残ったヘタを短くカットします。ハサミも、ミカンの収穫に最適化するよう、刃先の短い専⽤品です。
カットした後も、何重にも重ねたビニールシートや分厚い⿇袋の上に優しく並べてから袋づめ。
準備段階から後⽚付けまで終始⼀貫、夏みかんを最善の状態で出荷したい、という思いに貫かれていました。

南房総夏みかん 援農 クラフトチューハイ
南房総夏みかん 援農 クラフトチューハイ
南房総夏みかん 援農 クラフトチューハイ

夏みかんをいつまでも美味しく育てる、⼟づくりについて聞きました。
処分に困っているのか、地元農家を助けたい、という思いからでしょう。地元の牧場が、無料で⽜糞堆肥を提供しているとのこと。ちなみに当地域は、⽇本における酪農発祥の地域です。
さらに、川名さんは、近隣から頼まれて刈った草を処分する場所がなく、夏みかん畑に敷き詰めているそう。
図らずも、循環型有機農法を取り⼊れているようです。
化成肥料は軽量で散布しやすい反⾯、⽜糞堆肥は運搬も散布も重労働ですが、タダで⾃然の恵みを⽣かした農法は、健康的で持続可能、と川名さんは、考えていらっしゃるようです。
⾜元の⼟は、⿊々として弾⼒がありフカフカ。⼟を肥やすミミズがいっぱい棲息している証拠に、餌となるミミズを求めて、イノシシが地⾯を荒らしています。
夏みかんは⼟とともに、循環型果樹畑として⽣き続けています。

南房総夏みかん 援農 クラフトチューハイ
南房総夏みかん 援農 クラフトチューハイ

さて、収穫した夏みかんの味は︖・・・
ひと房ひと房が⼤きく、果汁がいっぱに詰まっています。他の柑橘類とは異なる、⼒強い酸味が特徴で、苦味や渋みを連想させる上品な⾹りが、様々な感覚を⽬を覚めさせてくれます。 酸味好きにはこたえられない味わいで、料理の酸味づけにも活躍しそう。
収穫して数週間、表面の皮が柔らかくなるまで熟成させると、酸味が落ち着いて食べやすく、爽やかな初夏の味わいに変わりました。

では、この夏みかんから⽣まれた、“寶CRAFT南房総夏みかん”の味は︖・・・
意外にも、まろやかで、上品な味⾹りに仕上げられ、深みのある焼酎の苦味と、⾒事に溶け合っています。
「うちの夏みかんから酒がつくれるのか︖ と半信半疑でしたが、初めて飲んだ時は、こんな旨い酒になるのか︕と驚きました」と川名和海さんは、興奮気味に話してくれました。

“寶CRAFT南房総夏みかん”と“寶CRAFT南房総夏レモン”は、千葉県を中心に、南房総エリアでは“おどや各店舗”等で購⼊できるそうです。

宝酒造として、“寶CRAFT”という国産果実に着⽬した商品を通して実現してみたい、2つの⽬標があるそうです。1つは、⽣産者の⾼齢化、⼈⼿不⾜を補うために、特⾊ある地域の農業に興味がある⼈と、⼈⼿不⾜に悩む⽣産者とのマッチング。
もう1つは、様々な企業が、地域の果実由来の果汁やピューレ、ペースト等を使った、様々な加 ⼯品を開発・販売する、といった出⼝戦略に貢献しながら、様々な関係者とともに“寶CRAFT” を育てていくこと。

鴨川レモン組合、宝酒造、⽇本果汁、各地から集まる収穫サポーターによる連携。 ⼀つの産地、⼀つの果実を中⼼に、地域も世代も超えて連携する循環経済・社会の取り組み は、地域や企業間の競争、価格競争の時代から、⼀歩抜け出しているように感じました。

協議会としては、狭い地域での循環経済・社会は、必ずしも持続可能ではなく、状況に応じて広域にわたる連携が必要、と考えています。
また、⾷の安全保障に注⽬が集まる今、供給が安定しない海外産果実から、国内の果実を有効利⽤する取り組みへとシフトするチャンス、と捉えています。

協議会と、協議会の事務局を担当する⼀般社団法⼈⾥⼭ソーシャルデザインは、今回の取材から⾒えてきた課題を改善するため、援農ツアーを検討したい、と考えています。
興味関⼼のある⽅は、お問い合わせください。
皆さまの、循環経済・社会への参加ご協⼒を、お待ちしています。

▶鴨川市における寶CRAFTの情報については、マップ&リスト No,012 でご覧ください

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